PORT!#5レポート/2017年はこれが来る!デジタルクリエイティブ業界で活躍する9人が予測する未来とは(前編)

PORT!#5レポートの前編です!Goodpatchの村越悟さん、EPOCHの佐々木渉さん、1→10designの小川丈人さん、NAKEDの大屋友紀雄さん、CINRAの伊藤が見据える「2017年のデジタル業界」とは?

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クリエイティブの現場の声を届けることで、“この場所でIMPORTしたことを自らのフィールドでEXPORTし、日々をアップデート”するヒントをシェアするCINRA, Inc.主催の「PORT!」。

2016年12月7日に行われたシリーズ第5回目は、『PORT!#5/2017年はこれが来る!デジタルクリエイティブ業界で活躍する9人が予測する未来とは』をテーマに、9人のクリエイターが登壇。テクノロジーの進歩と密接に連動し、“表現”のスタイルや幅がスピーディーに広がりを見せるデジタルクリエイティブ業界で活躍するメンバーが、2017年のビジョンについてライトニングトークを繰り広げました。

普段はCINRA, Inc.社内のイベントスペースで行われている「PORT!」ですが、今回は会場を代官山UNICEに移して開催。一般・学生合わせて約150名以上が集う立食パーティー形式で行われ、大賑わいの拡大版となりました。

年末の忘年会ムードがあふれる「PORT!#5」。ゲストがそれぞれ、異なるジャンル、異なる視点で、2017年のデジタルクリエイティブにおけるキーワードを挙げながら、「2017年はこれが来る!」を大テーマに、約10分ずつプレゼンテーションを行いました。ここからは、ゲストのライトニングトークを紹介してきましょう。今回はまず前半の5名から!

「コネクテッドカー」/村越悟(Head of Global Client Services Information Architect/Goodpatch, Inc.


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海外のクライアントワークを手がけている村越悟さんのトークテーマは「デザインとどう向き合っていくか?~車を取り巻く未来について~」。彼がいま最も興味があるという「車とそれを取り巻く未来」を題材に話が進行しました。「未来を考えるときには、まずそのものの起源と歴史を調べる」という村越さんは、車の未来を考えるに当たって、フォード社がT型フォードと呼ばれる車の大量生産化を果たした1916~17年を振り返りました。100年前の爆発的な自動車の大衆普及変革と2016以降、インターネットを介してデータのやり取りや操作が可能なコネクテッドカー(コネクテッドビークル)の出荷予測が「非常に符合する」と説きます。なかでも面白い事例として挙げたのが、コネクテッドカーの開発が急激に進む中国の自動車メーカー吉利汽車(ジーリー)が発表したグローバルモビリティブランド「LYNK&CO」。オープン・デジタル・プラットフォームが採用され、デジタルキーによるカーシェアリングも可能な彼らの試みは、今後の自動車産業の利益構造が自動車という物体ではなくよりサービスに近い存在に移行していくと説明、「そこで、我々が生業とするデザインはどう変わるのか?」と問いかけました。「デザインは、もっと人々の日常生活に紐付き、車と人との関係が見直されることでUIの捉え方が広くなり、そこにビジネスチャンスがある。新しいテクノロジーの登場によって、デザインはレガシーなものとの共存共栄を考えていくことが重要です。」と答えを出しました。

「HACKしたようなワンアイデアが光るWebムービー」/佐々木渉(DIRECTOR・PLANNER/EPOCH Inc.


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安室奈美恵がGoogle社とコラボレーションした世界初のMVや、水曜日のカンパネラが東京をカラージャックするMVなど、斬新な映像表現を手がけるEPOCHの佐々木さんは、「名だたる企業に交じって今日、まだまだ若い会社であるEPOCHが呼ばれたのは、面白い映像を作っている会社だと思われているから。僕は空気を読む人間なので、今日はデジタルコミュニケーションにおける映像の話をします」と宣言してトークをスタート。2017年は、2016年以上に「HACKしたようなワンアイディアが光る、誰もが簡単にどこでも閲覧できるWEBムービー」がブームになると予測。安室奈美恵の画面をタッチして観る疑似インタラクティブMVやリリカルスクールのスマートフォン専用MVを例に挙げ、ユーザーに「HACK」の感覚を与えるWebムービーがより多く登場するだろうと話します。そこで重要なポイントとなるのは、「①スマホで観れる」、“スマホファースト”であること。万人にバズらせるには、ユーザーが何かを操作せずに体験できPRに乗っかりやすい「②観るだけ、超簡単、分かりやすい」映像であること。そしてデジタルならではの「③今まで観たことないような、驚きがある」ことだと話します。「映像監督や映像専門家に負けない企画が、デジタル領域のクリエイターから生まれる可能性は非常に高い。トライしない理由はない」と、会場に集まったクリエイターを激励しました。

「Ignite Everyone,Update Everything.」/小川丈人(CEO/1→10design, Inc.


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ショーマンシップあふれる小川さんのプレゼンテーション、まず「2017年何が来るか? コレが来ますよ!」とスクリーンに映し出したのは、1月20日に就任した新米国大統領の画像。さらにイギリスのEU離脱や2016年末に国内で大きな話題となった大手企業にまつわる事件などを例に挙げ、「絶対に考えられないことが起きるのが昨今。2017年世界は断絶する!」と断言。そして「世界を断絶する暗い空気に抗うためにどうすればいいかと考えたら、いい言葉が見つかったんです」と紹介したのは、ワントゥーテングループ.のヴィジョンである「Ignite Everyone,Update Everything.」=「あらゆる人々の心に火を灯し、あらゆる全てを刷新する。」というメッセージ。「僕らはずっとアイディアとクリエイティブとテクノロジーを掛け合わせて、ビジネスや社会問題をブレイクスルーしてきたじゃないか。」と言い、「2020年には、断絶に抗う我々日本の姿勢を世界に伝えられる装置(=東京オリンピック)が起動する」と提示。「2017年は、デジタルクリエイティブが世界を救う始まりの年になる、俺たちが救世主(メシア)だ」と言い切り、 爆笑のうちにプレゼンテーションを締めくくりました。

「経験経済から、変革経済へ」/大屋友紀雄(プロデューサー/NAKED Inc.


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大屋さんが考える2017年のキーワードは、B・J・パインIIとJ・H・ギルモアの世界的名著『経験経済』を参考にしたという「経験経済から、変革経済へ」という言葉。「人はなぜ1000円のスマホアプリの購入は躊躇するのに、5000円の飲み会にはためらわず行くのか」という命題を例に挙げ、これまでの経済は、「コモディティ」→「製品」→「サービス」→「経験」の順に経済価値が高くなっていた。しかし今後は、その先にある「変革」=「お客様が達成した実証済みの成果・体験」に対して金銭を請求することになるという。その上で、「経験/体験について考えていくと“空間”を考えることにつながり、最後は“都市”に行き着く」と言います。ここ数年、大屋さんは都市について調べてきました。そこで『クリエイティブ都市論』(リチャード・フロリダ)で論じられている「ゲイ=ボヘミアン指数」や、80年代に流行した「主要なターミナル駅から一つ外れた駅が面白い」という都市論を例に、体験から空間へ発展する創造的空間への考え方を紹介。そこから派生する「創造性の高い場所=SCENE」での体験を技術的な側面から見ていくと、「Kinectやプロジェクト・タンゴのような画像認識技術」、「RICOH THETAを始めとする360度撮影」、「波面合成、バイノーラル録音などの音像定位技術」、個人的にとても興味があるという「ハプティクス(質感・触感)研究の進展」、「Wi-FiとGPSを利用した大規模地理情報」がさらに進化し、「そのとき、その場で起こったことを全て記録する=SCENE SCANNING」による体験のアーカイブ化が可能になるのではないか?と、より高度なクリエイティブの実現を示唆しました。

「デジタルで『エモ』は作り出せるのか?」/伊藤亜莉(ディレクター/CINRA, Inc.


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本題に入る前、伊藤がまず挙げたのは、2016年、CINRA社内でホットワードになっていたという「エモざるを得ない」というキーワード。2016年は、三省堂が選ぶ「今年の新語2016」でも上位に登場したように、「エモい」が時代の象徴的キーワードだという伊藤は、「そもそも〈エモい〉とは何か?」を分析しました。「一般的な言葉に置き換えできない身体感覚や感情を表現していて、言語化や視覚化できない情報が複雑に関係し合っているのではないか?」と、自分が好きだという純喫茶の趣や空気感を例に挙げて説明します。そこで伊藤が“2017年に来る”ものの命題として挙げたのは、「デジタルで『エモ』は作り出せるのか?」という問い。
台湾を訪れたとき、現地人とのやりとりにGoogle翻訳を使ったら、まるで生の会話をしているようで、まさに「エモざるを得ない」体験をしたという伊藤はさらに、いまブームを呼んでいるVRプロデューサー・安藤晃弘(株式会社ハシラス代表)にビジネスメディアHIP」で取材した記事の言葉を引用しながら、「今後は技術力を駆使してデジタルと現実の境界線をなくしていくことで、デジタルでも生の体験を超える〈エモ〉さを作っていけるのでは?」と結論。「2017年は、リアルを拡張することで新しい経験をCINRAで提供していきたい」と締めくくりました。

次回は、後編をお送りします。

NEXT EVENTPORT! VOL.7

PORT!#7/ SONY×リクルート 手法に頼らないリアルなUXデザインの現場!

2017/05/29(月) 19:30 〜

ソニー株式会社 入矢真一,株式会社リクルートライフスタイル鹿毛雄一郎,株式会社リクルート磯谷拓也,CINRA, Inc.伊藤亜莉

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