PORT! #1レポート / 3つのフィールドから考える「デザイン」

SHIFTBRAIN Inc.鈴木慶太朗さん、AID-DCC Inc.田渕将吾さん、CINRA, Inc.井手によるPORT!#1のレポートです!PORT! #1レポート / 3つのフィールドから考える「デザイン」

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「PORT!」は、CINRA, Inc.が主催するセミナーイベント。毎回、デザイン、エンジニアリング、編集など様々な領域の第一線で活躍する方をお招きして、知識や知恵をシェアしていきます。

 

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第1回目のテーマは、「3つのフィールドから考えるデザイン」。コンテンツ、エンジニアリング、インスタレーションという3つの軸で、それぞれのデザイナーが果たす役割について語っていただきました。

前半は各自20分ずつそれぞれの仕事内容についてプレゼンテーションをし、その後、3者によるクロストークという流れでトークは進行していきました。

「デザイン×エンジニアリング」中小規模のチームだからこそできるチャレンジ

 

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「デザイン×エンジニアリング」というテーマでお話くださったのは、SHIFTBRAIN Inc.(以下、シフトブレイン)の鈴木慶太朗さん。鈴木さんは、大学時代は経済学を学びながら、グラフィックデザインを学んだのだそう。デザインとエンジニアリングとのコラボレーションの重要性について話をしました。

シフトブレインは、ウェブサイトの制作会社ですが、インスタレーションやイデジタルデバイスを制作してイベント等出展することもあるのだそう。鈴木さんは、シフトブレインの制作体制についてこのように話します。

 

鈴木:ウェブの制作にフラッシュがなくなって、非常に幅広いデバイスに対応しなくてはいけなくなりました。そのため、デザイナーとエンジニアが密にやりとりをして、適宜対応できるくらいの中小規模でのものづくりが最善だと現段階では考えています。1人で抱え込んでしまうと、チェックやデバッグができない、一方で、チームが大きい場合、大規模な制作の場合は効率的なんですが、介在する人の数が多くなるため、コミュニケーションの齟齬がおこりやすい。その点、中小規模の体制だと、1人への負荷も減るので、余った時間で表現や演出を工夫しようということができるんです。

 

制作事例としては、映像制作会社P.I.C.S.のリブランディングを例に挙げ、デザインプロセスを紹介しました。このプロジェクトの場合は、起案の段階からデザイナーがヒアリングに参加しました。クライアントの要望に合わせて要件定義を行い、フロント・ディベロッパー、バックエンド・ディベロッパーと適宜接点を持ち、クライアントが社内で自ら更新できるようWordpressで組んでいったのだそう。また、パナソニック「ラムダッシュ」のブランドサイトでは、canvasを使ったDNAの曲線を有機的に表現した事例を紹介しました。

 

鈴木:エンジニアリングの話で言えば、デザイナーと言えど実装の知識がないとダメ。もちろんデザイン全般の知識も必要ですし、全体を見渡してディレクションをするAD的なスキルも必要とされます。プロジェクトによって任される部分が多いと大変ではありますが、それがやりがいにも繋がりますね。

「デザイン×インスタレーション」プロトタイプを作ることでデザインを更新 

 

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そして、「デザイン×インスタレーション」というテーマで話をしてくれたのは、AID-DCC Inc.(以下、AID-DCC) 田渕将吾さん。田渕さんは、アートディレクション、Webデザイン、空間デザイン、フロントエンドエンジニアリングに従事するかたわら、S5-Styleという名義で個人プロジェクトも展開するマルチな才能を持つ人物。

AID-DCCもウェブ制作の会社ですが、ウェブ制作の枠にとどまらず、テーマパークのアトラクション開発や生体センシング、VRヴィジュアライズ等、パソコンのモニタから飛び出し、大きな空間でインタラクションのあるものづくりなど、幅広く展開しています。

 

プレゼンテーションでは、アディダスのサッカースパイクのプロモーション「adidas THE NEW FOOTBALL」が事例として紹介されました。「この試合では、ゴールの点数だけではなく観客の盛り上がりが得点となります。その盛り上がりを「心拍数」や「表情」をセンシングし、大画面にビジュアライズしました。」AID-DCCでは、そのシステムを設計し、デバイスの開発をしたり、ビジュアライズのアートディレクション、モーションデザインなどに携わっているそうです。

 

田渕:今までにないものを作り出すので、プロトタイプを作るのはとても重要。何度もトライ&エラーを繰り返してブラッシュアップしていきます。また、僕らがやっているデザインはアートではありません。そのため、いかにわかりやすく、観客に伝えるか、そこを意識していつもデザインしています」

「デザイン×コンテンツ」コンテンツとデザインが「引っ張り合う」関係を作る

 

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「デザイン×コンテンツ」というテーマで話をしたのは、CINRA, Inc.(以下、CINRA)の井手聡太。井手は、現在同社のアートディレクターとして、自社メディア『HereNow」や「早稲田大学」など様々なWeb構築のビジュアルディレクション・UIデザイン・UXデザインを統括しています。

  CINRAでは現在カルチャーポータルサイト『CINRA.NET』を中心とし、クリエイティブ業界に特化した求人サイト『CINRA.JOB』やクリエイターの商品を販売するオンラインセレクトショップ『CINRA.STORE』、現地に住むクリエイターがその土地のオススメ情報を発信するバイリンガル・シティガイド『HereNow』という自社媒体を持ち、その編集力・機動力を生かして企業や大学のオウンドメディア製作などにも携わっています。それら自社メディアのアートディレクションを担当している井手はCINRAの特色を次のように話します。

 井手:社内にプロデューサーやディレクター的役割を担う編集者を置き、専門性の高いライターやフォトグラファーなどは外部のパートナーと制作する

体制や、自社メディア運営による人脈を活かしたコンテンツづくり、それに伴うインターフェース設計などがCINRAの特徴だと思います。デザインをしていく上で、ビジュアルの統括はアートディレクターが行い、デザイン展開やプログラミングなども必要があれば適宜アウトソーシングをするスタイルをとっています。

 また、テーマである「コンテンツ」とデザイナーとの関わり方については、このように述べています。

 井手:デザインとコンテンツに乖離がないよう企画の内容を「理解する」ことが重要、そして、ヴィジュアルを作り上げていく上でコンテンツとデザインが「引っ張り合う」関係を作ること。そして、実際に使い易いUIを想定しながら「作る」こと。以上の3点が重要だと思います」

 事例として経済産業省とのプロジェクト「100 Tokyo」を例に、デザインプロセスを説明しました。このサイトは、東京各地のクリエイティブなおすすめスポットを紹介するWEBメディア。コンテンツにおける写真イメージの重要性や、コンテンツを重視したデザインのあり方、編集者とのコミュニケーションが重要であると語っていました。

デザイナー・アートディレクターに求められるスキルって?

 

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その後のクロストークでは、クライアントとのコミュニケーションのとり方や、プロジェクトによって異なるアートディレクターの役割などについて、3者3様の意見が飛び交いました。

 田渕:提案のときに重要なのは、楽しそうにしゃべること。昔は、理詰めで会話を組み立てて相手を説得していたんですが、あまり効果がないし面白くないと思うようになりました(笑)。それよりも、この人と一緒にやれたら楽しそうって思ってもらえた方がいい。そう思ってもらえるように、常に面白そうに話しをしたり面白いアイデアを出し続けていたいです。それは、対クライアントだけじゃなくて、社内でも同じ。どういうところから面白いアイデアが生まれるかはわかりませんから、雑談も重要ですね。

鈴木:僕は、ヒアリングの段階では、専門家オーラを出すように心がけていますね(笑)。半分冗談ですが、信頼を得ることって大事だし、そういう関係から生まれる「同志として一緒に戦っていくものづくり」をシフトブレインは大事にしています。仕事をお受けするかどうかの最終ジャッジは社長がするのですが、できるだけ平等な関係で仕事ができるような環境作りをしてくれています。

最後に、これからのデザイナーに求められる資質について、こう答えていました。

鈴木:デザインとひと言で言っても、特にウェブ制作の場合はかなり幅広くなってくると思います。グラフィックをベースにしていくのか、デジタルに寄っていく人もいれば、ワイヤーフレームを作り込んで行くのが好きな人ももちろんいると思います。人によってはプログラムやマーケティングの知識も必要とされてくるかもしれない。だから、さっき専門家オーラって言いましたけど、何を専門にしていくかが大切。ある程度幅広い知識を持ちつつ、自分の得意なところ、好きなところを強化していって専門性を高めていくことが必要なのではないかと思います。

田渕:若い時は、経験が浅いのでいろいろできないのは当たり前なんですが、ブレストで冴えたアイデアが出てくることはもちろんある。例えば、雑談でめっちゃ話が盛り上がる人とか、話が面白い人は、技術がなくてもブレストに呼んでみようかっていう気になる。もちろん技術や経験も高めて欲しいけど、そういう雑談力を持った人は価値があると思います。あとは本人のキャラクターでしょうか。リアクション大きい子とかの方が教えてあげたくなる。そういうことも資質のひとつになるのかもしれません。

井手:多くの関係者が一つのものを作っていくので、いいアイデアを実現するためにも、多様なメンバーといかにコミュニケーションできるかが今後デザイナーに求められるスキルだと思います。「デザイン」という言葉は幅広い解釈ができますが、もっと広い視点で言えば、今後世の中がどうなっていくかを考えたり、未来を構想する力も必要になってくると思います。

今後も毎回テーマを変えて展開をしていきますので、ご期待ください!

 

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2016/12/07(水) 19:20 〜

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